テッコ舎出品 服飾雑貨作家
ロトンド
使い手と過ごした時間が
味になる商品を
きっかけは、旧まちの駅 はちのへの「チャレンジボックス」
学生の頃からファッションが大好きで、将来はファッションデザイナーになりたいという夢から、服飾専門学校でデザインや縫製を学んだ鈴木さん。念願のアパレル関係の会社に就職し、2010年まで製作や販売の現場で活躍しました。子育てを終えたちょうどその頃、かつて八戸中心街の十三日町にあった「まちの駅はちのへのチャレンジボックス」を知り、創作意欲が蘇ってきた・・・。
「現在、作品を出品しているヤグラ横町の【テッコ舎】の前身ですよね。わずか45センチの小さな“お店”の中に、100人くらいもあったかな?いろいろな作家さんがそれぞれ、ボックスの中に自分が手づくりした作品をそれぞれのスタイルで飾って販売委託している。もう、いてもたってもいられなくなったんです(笑)。」
服飾専門学校で基礎を学び、アパレル関係の仕事で販売の現場を長く経験してきた鈴木さんにとって、自分のブランドを初めてプロデュースすること、自営の初心者として低リスクで中心街に“小さなお店”を持つことができる。この2点がチャレンジボックス出店への大きな後押しになりました。
こだわり抜いた作品第1号は車掌バッグ風の口金バッグ
「子どもの頃からバスや電車の車掌さんのカバンに憧れていて。あの口金のガッチリした感じ。手に入れたくて探すもお気に入りが見つからず、作るしかない!と一念発起したんです。」
専門書を読みあさり、小さながま口から作り始め試行錯誤の毎日。
車掌さんのカバンとはいえ、女性が持ってもカワイイ、素敵に見えるデザインを何種類もデッサンし、たくさんの試作品も作りました。口金探しにも奔走し、自分のイメージする素材感、使いやすさ、丈夫さなど、納得がいくものに出会えるまで取り寄せ続けて、ついに鈴木さんオリジナルの【口金バッグ】が完成。
こうして、子育てをひと段落させてから“プチ創業”した鈴木さんの新しいライフステージがスタートしました。
自身のブランド「Rotondo」は愛猫がモチーフ
【Rotondoロトンド】は愛猫をアイコンにした鈴木さんのブランドです。鈴木さんが作品の多くに採用する革という素材には、一つひとつ個性があり、同じ型紙でも違うものに仕上がるもの。使い込んで育っていく質感が大好きという鈴木さん。
現在、テッコ舎で販売している定番のコインケース【ハマグリ】(下写真)。
ある日、数年前に購入いただいたお客さまに出会ったところ、その【ハマグリ】がツヤツヤと柔らかく深みのある赤に変わっていて感動しました。」
車掌カバンに憧れ、口金にこだわり抜いたオリジナルの【口金バッグ】も今では人気商品に育っています。
「これからも、自分らしいアソビのあるデザインを創り出したいですね。そして、使い手と過ごした時間が“味”になる商品を作っていきたいですね。」
ご自宅の一室、使い込まれたミシンや皮加工の工具、色とりどりの皮素材や金具などがひしめくロトンドの工房で、今日もコツコツと作品づくりに勤しむ鈴木さんの充実の笑顔が印象的でした。